モデルシステム (テレワーク用通信機器など)
テレワークを活用した在宅勤務やモバイルワークの導入を目指す企業の経営者にとって、最大の関心事は
情報セキュリティの確保(情報漏えいの防止)と業務の生産性・効率性の低下懸念ではないかと思われます。
優秀な人材の確保・活用、事務所経費や交通費の削減、災害発生時の事業継続対策(BCP)なども重要な関心事でしょう。
最近のIT技術の目覚ましい進歩によって、低コストで安全・便利に使用できるテレワークに最適なシステムが広く普及し定着しつつあります。
仮想デスクトップやリモートデスクトップと呼ばれる技術で、アプリケーションや業務データは会社にだけ存在していて、
在宅や外出先で使用するPCには画面だけが表示されるという技術です。
手元のPCにはデータをダウンロードできませんから情報漏えいを防ぐことができます。業務データは会社で一元管理され、
従業員はいつでもどこからでも、個人所有のPC(BYOD)を用いても安全に、あたかも職場にいるかのように仕事ができます。
テレワークに最適、低コストで導入・運用が可能なシステムをモデル化しました。用途や運用要件に合わせて選択いただけます。モデル仕様の組み合わせについても、要件によっては可能ですから、ご相談下さい。
  | サーバーを自社内に設置 | サーバーをデータセンターに移設 | クラウドサービスを利用 |
---|---|---|---|
接続先がパソコン | 可能 | 不可 | 不可 |
接続先がサーバー | 可能 | 可能 | 可能 |
個体認証による成りすまし防止 | 可能 | 不可 | 不可 |
サーバーを自社内に設置
既存の社内システムに、テレワークのための接続管理サーバーを設置する買い取り(オンプレミス)型のシステムです。 遠隔アクセスの場合の接続先と要求セキュリティレベルによって組み合わせ選択が可能です。
モデル1-1 自宅や外出先のPCから職場の自席PCに接続してリモート操作する
- 手元のPC(個人所有PCでも会社支給PCでもOK)にUSBキーを挿すだけで、職場のPCをリモート操作できます。
- ユーザ名・パスワードに加えて、USBキーの個体認証により接続を管理しますから、他人の成りましを防止することができます。
- インターネット通信は全て自動的にVPNで暗号化されます。
- 職場のPCの電源は使用時に遠隔操作でオン・オフできますので、無駄な電気の消費は避けられます。
- 自社内に接続管理サーバーを設置してルーターの設定をするだけで簡単に使用を開始できます。
モデル1-2 自宅や外出先のPCから社内に設置の仮想デスクトップサーバーにリモート接続する(個体認証)
- 手元のPC(個人所有PCでも会社支給PCでもOK)にUSBキーを挿すだけで、自席と同様のPC操作が可能です。
- ユーザ名・パスワードに加えて、USBキーの個体認証により接続を管理しますから、他人の成りましを防止することができます。
- インターネット通信は全て自動的にVPNで暗号化されます。
- 職場のPCをシンクライアント型に切り替えることも可能で、社内システムの運用管理負担や情報漏洩リスクが軽減されます。
- 自社内に仮想デスクトップサーバーと接続管理サーバーを設置してルーターの設定をすることで使用を開始できます。
モデル1-3 自宅や外出先のPCから社内に設置の仮想デスクトップサーバーにリモート接続する
- 手元のPC(タブレットPCも可)の専用ビューワーを起動して仮想デスクトップサービス(VDI)を使用します。
- ユーザ名・パスワードによる利用者認証なので、一定条件下での運用では柔軟な活用が可能です。
- インターネット通信は全て自動的にVPNで暗号化されます。
- 職場のPCをシンクライアント型に切り替えることも可能で、これにより情報漏洩リスクが軽減されます。
- 自社内に仮想デスクトップサーバーを設置することで使用を開始できます。
サーバーをデータセンターに移設
クラウドサービスを活用することで設備の保守負担が軽減されるとともに、データ喪失回避など災害や事故に強いシステム運用が可能になります。
モデル2 クラウドデータセンターに自社システムのサーバー機器を移設してリモート接続する
- 手元のPC(タブレットPCも可)の専用ビューワーを起動して仮想デスクトップサービス(VDI)を使用します。
- ユーザ名・パスワードによる利用者認証なので、一定条件下での運用では柔軟な活用が可能です。
- インターネット通信は全て自動的にVPNで暗号化されます。
- クラウドデータセンターに自社専用の仮想デスクトップサーバー他を設置することで使用を開始できます。
クラウドサービスを利用
クラウドサービスを活用することで設備の保守負担が軽減されるとともに、データ喪失回避など災害や事故に強いシステム運用が可能になります。
モデル3 自社システム専用の機器を所有せずにクラウドサービスにリモート接続する
- 手元のPC(タブレットPCも可)の専用ビューワーを起動して仮想デスクトップサービス(VDI)を使用します。
- ユーザ名・パスワードによる利用者認証なので、一定条件下での運用では柔軟な活用が可能です。
- インターネット通信は全て自動的にVPNで暗号化されます。
- クラウドサービスの申し込みをすることで使用を開始できます。
テレワークシステム(テレワーク用通信機器等)の導入に向けての留意点
テレワークシステムの導入を検討する際に留意すべきことなどを纏めました。 テレワーク導入に当っては、自社のテレワーク運用の要件などを綿密に確認・整理のうえ、以下の留意点を考慮して具体策を纏められることをお奨めします。
テレワークのためのIT環境
IT技術や通信技術の進歩によって、使い勝手が良く安全性の高いテレワークに適したシステムやサービスが低コストで入手できるようになりました。 テレワークが有用なものとして定着し活用の拡大が進むよう、IT環境を整える上で特に留意すべき重要な点について纏めました。
情報セキュリティ
- 本人認証 他人の成りすましを防ぐにはパスワード認証では不安が残ります。個体認証などとの併用により確実な本人確認が可能です。
個体認証とは、キャッシュカードのような仕組みの認証方法のことで、物理媒体に固有の情報を活用して認証を行ないます。 - 通信回線からの情報漏洩 テレワークにはインターネットの利用が一般的です。VPNなどの暗号通信機能を備えていることが必須です。
- 端末PCからの情報漏洩 在宅で使用するPC上でアプリが実行される方式では当該PCからの情報漏洩リスクを避けることは困難です。
シンクライアント(仮想デスクトップ、リモートデスクトップ)では、画面情報のみを端末に送りますので有効です。 - データのダウンロード 在宅で使用するPCに会社のサーバーやPCからデータをダウンロードできると情報漏洩リスクが高まります。
- 在宅で使用可能なアプリ 在宅勤務者の業務に合わせて使用を許すアプリを制限することができれば、情報漏洩リスクは軽減されます。
- アクセスロック パスワードの漏洩や個体認証デバイスの紛失・盗難が判明した際の対策として、緊急アクセスロック機能は有効です。
- 証跡管理 利用者や個体認証デバイス毎のアクセス状況を記録をしておくことで、事故発生時などでの責任の確認が容易になります。
通信環境
- 通信速度 在宅勤務者の既設の一般的なインターネットの通信速度でテレワーク可能なことが望まれます。
- 通信方法 有線LAN、無線LAN、モバイルWiFiルーター、無線通信カードからテレワーク環境にあった通信方式を選択します。
日常運用
- 運用管理者 日々の運用にIT専門技術者を要しないことが、スムーズな継続運用とテレワークの定着・拡大とにとって重要です。
- 24H運用 夜間・休日・外出時など、いつでもどこからでも、継続的なシステム運用や管理が可能であることが重要です。
テレワークのための社内ルール
テレワーク導入に当って必要な社内ルールとして画一的なものありません。導入企業のテレーク形態に合わせて策定することになります。
- 就業規則 就業規則の変更の必要があるかどうかを検討します。
- 労働時間制 通常の労働時間制、みなし労働時間制、変形労働時間制の全ての労働時間制の採用が可能です。
- 労働時間管理 客観的に把握できる方法によらなければなりませんが、電話連絡やメール送信による方法が多いようです。
- 給与・諸手当 業務内容や職種、勤務時間に変更がなければ給与の見直しの必要はありません。通勤手当は実施頻度に応じて考えます。
- 人事評価制度 評価者の目の届かない場所で働く在宅勤務者が他の従業員と比べて不利な評価とならないようにすることが必要です。
- 安全衛生と健康管理 在宅勤務ではPC作業が多くなるため「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」に留意が必要です。
- 労働災害 在宅勤務中の怪我や事故も要件を満たせば労災保険給付の対象になります。
- 費用負担 在宅勤務者の通信機器の費用、通信費、文具消耗品などを、会社又は従業員のどちらが負担するのかを明確にしておきます。
- 社員教育・研修 在宅勤務者(テレワーカー)が社員教育や研修を受ける機会が少なくなることがないよう配慮が必要です。
テレワークシステム導入の一般的なプロセス
小規模な試行運用から始め、明らかになった課題を一つ一つ解決しながら本格導入へと段階的にステップアップしてゆくのが賢い進め方でしょう。
- 導入検討と経営判断 テレワーク導入の目的・ねらいの明確化が重要です。経営トップの決定と中間管理職の理解・支持が不可欠です。
- 現状把握 就業規則や勤務管理、人事評価などの見直しの要否、IT環境などについて課題を把握します。
- 導入に向けた具体的推進 導入部門だけでなく、人事、総務、IT部門など広範な関係者によるプロジェクチームで進めることが重要です。
- 試行導入 どのような点の把握のために試行実施するのかを事前に決めておくのが効果的です。
- 試行導入の効果測定 導入効果だけでなく、明らかになった解決すべき課題について、その解決方策を具体化することが重要です。
- テレワーク本格導入 本格導入後も実態の把握に努め、テレワークの活用がより有効なものとなるよう改善を進めることが望まれます。
参考資料
本ページの記載内容は以下の資料を参考にしました。